2025年07月31日
僕が小学校で鑑賞した映画と言えば、昔話のアニメや交通安全の映画くらいしか記憶にない。しかし、80年代に小学校に通った多くの人々は、この『砂漠の冒険』という映画を見せられたらしい。早回しで確認してみたが、少年が載った飛行機が墜落し、一人砂漠を彷徨うというサバイバル映画としてはかなり過酷な内容だった。ダチョウの卵を焼いて食べ、ブッシュマンに石を投げられながらも生き抜く主人公がタフすぎる…。文部省もどえらい映画を選んだものだ。
2025年07月30日
NPR(公共放送)系のラジオ局では、ブラジルや日本などアメリカ以外のアーティストの曲も選曲されることがある。先日、故Orlandivoの『Onde Anda O Meu Amor』を、数十年ぶりに聴いた。学生の頃よく聴いていたこのCDアルバム、音源にレコード針の音が入っていて、海賊版っぽかったのを覚えている。彼は60年代初期に『日本のサンバ』という可愛らしい曲を発表しているが、和風を目指しながらもフレーズがモロに中国風だった点はご愛嬌。
2025年07月29日
古代中国思想の影響が強い日本では「性善説」「性悪説」という表現が浸透しているが、西欧ではこの二つを区別・対比して論じる習慣はない。キリスト教における「原罪」の概念に代表されるように、そもそも「人間は本質的に利己的で、ろくでもない存在」と考える傾向が強く、実際、性善説を信じて生活していたら身が持たない。AIに「性悪説に基づいているけど、力強く生きる勇気を与えてくれる映画は?」と尋ねたら、『ウォーキング・デッド』と返ってきた。
2025年07月28日
今から10年ほど前、「FOMO(=fear of missing out)」という言葉をよく目にするようになった。人種や民族、宗教に関係なく、「自分だけが取り残されているのではないか」という恐れを抱く人は多い。ソーシャルメディアやマーケティングの世界では、こうした人間の弱点を利用した施策を考えられる人が優秀なビジネスパーソンとされる。「JOMO」という言葉も存在するが、「取り残される」という意識や環境から自分を解放できれば、それに越したことはない。
2025年07月27日
メキシコ系移民労働者出身で初めてNASAの宇宙飛行士になったホセ・ヘルナンデス氏のストーリーを描いた映画を観た。実際には数々の挫折や壮絶な努力があっただろうが、映画は過度な演出を避け、比較的淡々としたサクセス・ストーリーに仕上がっている。彼の両親は、息子の教育の安定を最優先に考え、農作物の収穫に合わせて移動する生活を諦めた。思い返せば、僕の父も子供たちの教育のために、長期の単身赴任生活を選んでくれたのだった。
2025年07月26日
次のアルバム(OE『Suchness』シリーズ)の選曲とミックスダウンに取り掛かっている。普段、散歩の時はオーディオブックかポッドキャストを聴いているが、この数日間は確認用にこの作品の途中段階のミックスを聴いている。歩きながら早口英語の聴き取りにも神経を配るのとは違って、ダウンテンポの音楽を聴きながらの散歩はリラックスできて、まるで別世界。よく聴くポッドキャストの一つがこの『Founders』(これは動画版)。
2025年07月25日
「1日7,000歩歩く人は深刻な健康問題のリスクが劇的に低下する」という研究結果が発表された。海外では「1万歩が良いのか7,000歩で十分か?」と歩数に焦点を当てている記事が多いが、正直、歩数よりも質=歩き方や歩く習慣づけの方が大事だと思う。毎日2時間、1万歩以上歩き続けていることが功を奏しているかは分からないが、長年医者にかかることもなく、人間ドックも良好な結果を保っている。ただ、一番大切にしたいのは健全なマインド。
Just 7,000 steps a day could cut health risks, study says (BBC)
2025年07月24日
不動産ビジネスには興味がないけれど、国を問わず、住んでみたい場所の売買・賃貸物件を見て妄想を膨らませるのは結構好きだ。たまに、以前住んでいた街の物件を眺めてみたりもする。先日、若い頃に住んでいた東京都内のマンションを見つけた。リノベーションされて内装が綺麗になっていたが、驚いたことに当時より家賃がかなり安い。築年数が経過しているからなのか、ニュースで騒いでいるのはごく一部の現象なのか。
東京23区の単身者向けマンション家賃、2カ月連続で10万円超 - 日本経済新聞
2025年07月23日
プログラミングの本を読んでいると、「Nまでに存在する素数の数を求めるアルゴリズム」という内容が出てきた。Chat AIに質問してみると、「それは、”エラトステネスのふるい”ですね」という返答が。AIから40年ぶりくらいにこの計算方法とその人名を聞かされて驚いたが、改めて調べてみると、彼は数学に加えて天文学でも大きな業績を残しており、地球の大きさを初めて測定したという。その測定方法を説明したアニメーションをこれまた博学な、イームズ夫妻が制作していた。
2025年07月22日
『シティ・ポップ』という言葉が(再)定着したのは日本を離れてからなので、その経緯についてはよく知らない。ただ、僕が十代の頃に流通していた、AORやブラコンなどの洋楽に影響を受けた邦楽を指すものだと思っている。僕は当時、欧米のロックやジャズ、R&Bにのめり込んでいた学生だったからか、聴いたことのない日本の音楽が思いのほか多いことに驚かされる。今に比べると当時の情報源はかなり限られていたけれど、あのくらいの情報量の方がありがたみがあった。
2025年07月21日
精神科医アドラーの名前は今や欧米より日本でよく話題になるが、僕は彼に破門された(『夜と霧』が有名な)ヴィクトール・フランクルの著書の方がしっくりくる。アドラーは劣等感や優越感といった、他者との比較を重要な動機づけ要因として位置づけたのに対し、フランクルは自分の内面にある「意味の追求」や生きがいの発見に重きを置いた。若い時はまだしも、優劣や社会の評価を軸にすえて生き続けられるほど人生は短くはなくて、やがてどうでもよくなる(笑)。
2025年07月20日
毎朝一番に聴いているジャズ・ラジオ局Jazz24(KNKX)は、アメリカの公共放送NPRのネットワーク局として運営されている。昨日、連邦議会下院は公共放送に対する承認済み予算を「撤回」する法案を可決したため、あとは大統領の署名のみで予算削減が決定する。局の今日の告知はその報告と寄付のお願いであり、事態の切実さを感じさせた。日本も深刻な財政問題を抱えているが、現在のアメリカの財政・関税政策に見倣うところは少ないだろう。
2025年07月19日
MER『Cosmic Funk Expo』第2弾を来月22日にリリースします。今回も70年代後半から80年代の雰囲気を感じさせつつ、現代的にアレンジしたエレクトロニック・ジャズ・ファンクをラインアップしています。前作を気に入っていただけた方は、ぜひチェックしてみてください!
2025年07月18日
政治経済をはじめ、あらゆる分野において、今ほど「予測」が意味をなさない時代は珍しいと思う。2008年の大統領選挙で50州中49州の結果を的中させ、時の人となったネイト・シルバーが新刊を出すと聞いたが、正直言って、今はどんな専門家の予測も当てにならないと感じているし、むしろ知らない方が賢明だと思う。「〇〇が勝つ確率は71%」と言われても、それはあくまで「モデルが正しければ」の話。コロナ禍のモデル論争が、今となっては牧歌的に思える。
2025年07月17日
昨日に続き、お気に入りのブラジル音楽を紹介。ギタリスト、ルイス・ボンファの『Introspection』は、彼のリリース作の中で最もよく聴いてきたインストアルバム。恐らく彼の作品の中では商業的に成功しなかった部類に入るだろうし、レコード会社RCAとの契約もこれが最後だったようだが、YouTubeのコメントでは絶賛の嵐となっている。この作品を発表した1972年当時の彼に、2025年のリスナーからの反応を届けてあげたい。
2025年07月16日
先日、「心に響く、一生モノの曲」の話をしたけれど、ブラジルの音楽にはそのような曲が本当に多い。ひとつ残念なのは、僕がブラジルポルトガル語をあまり理解できないこと。外国語に関しては、時々思い立ってラテン系言語や中国語のテキストを買ってみるのだけれど、結局は英語に逃げてしまう。この「É Preciso Perdoar(赦してあげよう)」という曲は、失恋についての内省的な歌で、A→Bパートへの展開がゾクッと来る。
2025年07月15日
Excelは長らくいろんな用途で使ってきたけど、最近はマクロを組んだり、API経由でデータを取り込んだり、少し踏み込んだ使い方をするようになった。参考書を何冊か買って試してみると、自分が知らなかった機能や技が山ほど出てくる。時短や効率化のテクニックを学ぶ必要には迫られていないが、知らないことを知るのは単純に面白い。ただ、過去の自分の印税データを曲別や時系列で分析してグラフ化!みたいなのは生々しすぎてちょっと遠慮したい(笑)。
2025年07月14日
「143」が「I love you」の意味として使われるようになったのは比較的最近のことだと思っていたら、なんと1895年にボストンの灯台で、1-4-3の点滅サイクルの光信号として使われたのが最初らしい。ロサンゼルスのフードトラックのメニューでこのスラングを見たとき、洒落た使い方だなと思ったけれど、実は日本で「4649(ヨロシク)」と書くセンスに相当するのか、その辺りのニュアンスをネイティブ・スピーカーに確認したことはまだない。
2025年07月13日
初期のアップルでソフトウェアエンジニアを務めていたビル・アトキンソン氏が先月亡くなった。彼が中心となって開発したQuickDrawやHyperCardなど、グラフィカルなUIがあったからこそ、それまでコンピュータと無縁だった僕のような人間が新しい創造の世界を知ることができたのは間違いない。MS-DOSのパソコンが職場に溢れていた90年代初期、「パソコン買うなら断然Macだよ」と薦めてくれた先輩を、今改めて思い出し感謝している。
2025年07月12日
社会的に偉業だと思われることを成し遂げた方々が講義をする番組を見た。その出演者は、20年近くにわたり世界的なプロジェクトに関わった後、「燃え尽きて」しまった時期があったという。これまでそのような思いを抱いたことがない僕は、「おめでたい」人なのだろうか(笑)。それはさておき、彼が番組で紹介していた「How to eat the elephant(象の食べ方=大きな仕事のやっつけ方)」の話は大いに頷けた。いわゆる「千里の道も一歩から」。
2025年07月11日
僕が利用している音楽ストリーミングサービスが薦めてくるプレイリストの一つに「Fresh Jazz」というものがある。しばしば新しい曲に入れ替わるので、数週間空けるとすっかり知らないアーティストの楽曲で埋め尽くされていることもある。そのプレイリストで知って、幾つかアルバムを聴いたのがこのジャズ・ギタリストのMike Bono。速弾きこそしないけれど、ギターのトーンが何となく故アラン・ホールズワースを彷彿とさせる。
2025年07月10日
人間は他人を批判したり「裁く」と、自分が偉くなったような気がするらしい。自分を相対的に「上」に置くことで、心理的な快感を得るだけでなく、実際に「報酬系」や「快感系」の神経伝達物質(ドーパミン)が体内で分泌されるとのこと(諸説あり)。確かに、ネット上では誰もが神になったかのように他人をぶった切っている。しかし、それで自分に平和が訪れるわけでも、家族の運気が上がるわけでもない。ホルモンは身内が幸せになる方向に活用(?)したい。
2025年07月09日
このところ、世界の経済・政治の不安定さは増すばかり。かつてはチューリッヒ工科大で、現在は中国深圳の南方科技大でリスク管理を研究するディディエ・ソネット氏の講演を聴いていると、なぜマーケットがまだクラッシュしていないのかが不思議に思えてくる。彼は、新聞王ジランダンの言葉「Gouverner, c’est prévoir(統治は計画と予測の技術である)」を引用しているが、大事なのは国や他の「誰か」ではなく、まずは自分が自分を統治することだと思う。
2025年07月08日
NASAのYouTubeチャンネルでは、高度425キロの「熱圏」を周回する国際宇宙ステーション(ISS)のライブ映像が視聴できる。熱圏では大気が極めて薄く、空気抵抗がほぼゼロに近いため、安定して周回軌道を長期間維持できるのだそうだ。こんな上空からずっと地球を見ていられるなんて、NASAはとても贅沢な機会を与えてくれていると思う。逆に、中国やインドなどの宇宙開発についてはあまりにも知らなさすぎて、少し反省。
Live High-Definition Views from the International Space Station (Official NASA Stream)
2025年07月07日
ネットワーク科学やグラフ理論についてよく耳にする。ただ、この分野の課題意識の中心は「どれだけ多くの人と多角的につながれるか」といったノードの次数やハブ性など、物量的な視点に偏っていて、つながりの質や良い人間関係の維持についての議論は殆ど聞かない。僕は、Googleのページランクや人気コンテストのような視点で人を評価したり、社会での成功を定義する風潮は卒業したいので、暇なときに独自のネットワーク理論(笑)を考えてみようと思う。
ネットワーク科学のイノヴェイターがたどり着いた「成功の法則」:アルバート=ラズロ・バラバシに訊く | WIRED.jp
2025年07月06日
次のアルバムの制作を始めました。今年の初めにリリースしたOE『Moment of Now(Suchness 5)』の続編的な作品にしたいと考えています。『Suchness』シリーズは、もちろんリスナーの皆さんにも聴いていただきたいですが、自分にとっては創作のホームグラウンド、あるいは隠れ家的な存在でもあり、このシリーズを定期的に制作することで、創作活動に良いリズムが生まれています。
2025年07月05日
マインドフルネス的な視点で言えば、夜にあまり調べごとをしたり、深く思索したり、過去を振り返ったりしない方が、穏やかに時間を過ごせて、深い眠りにつける気がする。つまり、「就寝前は頭の引き出しをたくさん開けない」ことが大切。とはいえ、夜型の生活をしていた頃は、むしろ深夜こそ「引き出しを全開にする、楽しい時間」だった。調べない、考えない、思い出さない――これらの行為を、時と場合に応じて自在にオン・オフできるようになりたいものだ。
2025年07月04日
40年前のちょうど今頃、英米を中心に「Live Aid」という音楽イベントが開催された。大の洋楽好きだった僕は、高校の期末試験が終わった直後の週末に、テレビの生中継を深夜まで食い入るように見た。参加したアーティストや彼等の曲は何度もブームを経て「定番」になり、特に懐かしさは感じない。ただ、日本のキー局がこのイベントの放送権を買い切って土日ぶっ通しで放送するほど、当時の一般視聴者の洋楽への関心が高かったという事実は、今となっては驚き。
2025年07月03日
ヌーテラやフィレロ・ロシェなど、数多くのチョコレート・ブランドを生み出したビジネスマン、ミケール・フェレロについてのポッドキャストを聴いた。90歳近くまで熱心に商品開発に関わっていたというから、さながらイタリアの安藤百福といったところか。片やウェブデザインソフトの会社Figmaが、1.5ビリオンドルの市場価値を目指して上場するという話題が。抜け目ない投資家に囲まれて30そこそこで億万長者になった創業者は、いつまでそのビジネスに愛着を感じるのだろうか。
2025年07月02日
楽器の演奏と同様に、ヴォーカルも単に巧い拙いだけで評価できるものではない。ただ、歌は音楽表現の中でも最も人間的で直接的な手段なので、楽器よりごまかしが効かないし、曲の魅力やキャラクターを左右する決定的な要素になりやすい。たとえば、バンドLake Street Diveのレイチェルのヴォーカルはとても良いと思うけど、もし彼女が僕のアルバムで歌ったら、バックトラックで僕らしさを出したとしても、聴いた感じは彼女の作品になってしまうだろう。
2025年07月01日
子供の頃、田舎の祖父母の家へ泊まりに行くと、夜空の星が驚くほどきれいだった。オリオン座や北斗七星が、手が届きそうなほどはっきり見えたのを今でも覚えている。今住んでいる街では、照明が明るすぎるのか、晴れていても星はほとんど見えない。天体望遠鏡を買っても意味がなさそうだし、ヘッドセットで夜空を疑似体験しても、どこか物足りない。やはり、次の旅行先には星空が美しい場所を候補に入れるのが良さそうだ。