2026年01月31日
日々の業務でAIChatは色々と使っているが、音楽制作のアイデア出しや作曲ツールとして使うことはない。僕が惹かれるコードの響きやリズムのシンコペーション、「間」の取り方、そして展開の予測不能さは、AIが目指している方向とはまったく異なるし、AIにアドバイスされるのも困る(笑)。これは老子の言う「無用の用」なのかもしれない。役に立たない(=AIが「攻略できる」と興味を示さない)ものこそ、侵食されずに生き延びるということ。
Dark Model - Labyrinth (Short Edit)
#neoclassical #chambermusic
2026年01月30日
アメリカにいると特に、「価格」と「価値」は全く別物だということを思い知らされる。このコラムにもあるように、もはや古典的なミクロ経済学の概念は殆ど意味をなさない。だが音楽ビジネスがさらに絶望的なのは、作り手側から「価格決定権」が完全に剥奪されてしまったことだ。プラットフォームやテック企業を非難するのはたやすいが、音楽業界側の脇の甘さと怠慢が招いた、「知恵比べの敗北」であることは否定できない。
2026年01月29日
僕がプロとして音楽を始めた頃、ダンスミュージックの魅力の一つに「匿名性の面白さ」があった。DJがスピンする曲で盛り上がっていても、どの国の誰の曲か分からないし、そんなことに関心を持つ気配もない。DJブースの場所や、誰がプレイしているのかすら分からないこともあった。その晩のヒーロー/主役はDJではなく(グルーヴや音の響き、ストーリーなど、すべてを含めて)「音」。Ron TrentのDJは、そんな純度の高い音楽体験を提供し続けている。
2026年01月28日
最近のUK/USインディ・レーベルの音をチェックしていると、「インディ」とは思えないほど、新人でも随分豪華なミュージックビデオ(MV
を作っている。複数のAIに「販促・宣伝費はどうやって捻出するの?」と聞いたところ、「実質的にはアーティストがレーベルにローン(前借り)する形です。アーティストは“リスクは最初に負い、報酬は最後に得る存在”なのです」と返ってきた。そうした世界とは無縁に、音楽業を30年、レーベルを20年続けてこられたことは奇跡かもしれない。
2026年01月27日
人間は物語を自分本位に紡いでしまう性質がある。それが時に独善となり、自分を苦しめる。ヴィクトール・フランクルの説く「生きる意味」が、いつしか自分を縛る「執着(べき論)」に変貌する瞬間だ。ここでアルバート・エリスは「その解釈は認知的にゆがんでいないか? 自分を助ける考えか?」と自問し、主観の暴走を食い止めることを提唱する。フランクルとエリスは対照的に見えて、実は「解釈という刃」を使いこなすための、表裏一体の考え方だと思う。
Dark Model - Vigilant Eyes (Short Edit) #orchestralmusic #glitch #epicmusic
2026年01月26日
今月の Financial Timesで紹介されていた、各国の AI に対する印象を比較したグラフが印象に残っている。イプソスという調査会社のデータを図表化したものだったと思うが、日本は AI への不安も期待も、そして恩恵への実感も先進国で最下位だった。AI にユートピアもディストピアも感じない、というのは「バランス感覚がある」とするのか、「無批判・無抵抗(=お人好し)すぎる」のかは見方次第。ただ、Gemini は「ジェミナイ」と呼んでほしかったかな。
2026年01月25日
数か月前にウォーキングマシンを購入して以降、外の坂道ウォーキングの時間を半分に減らしている。そのお陰で足裏の調子は随分良いのだが、太陽の光を浴びる時間も半減してしまった。日照(メラトニン)不足対策としてLEDの室内灯を仕事中煌々と照らして使うのだが、6、7年使っているもののこれの効果はさっぱり分からない。で、いつも「常夏の島で毎日、太陽の下でランニングするのが一番」という、当たり前の結論に達する。
Captain Funk - Running (Short Edit)
#electrohouse #workoutmusic
2026年01月24日
最近「糸川英夫」にハマっている。そう、あの小惑星「イトカワ(ITOKAWA)」の命名の元になったロケット研究者だ。ただ、糸川氏のことをロケット研究者と呼ぶには、彼の功績は多岐に渡りすぎていて、少し気が引ける。彼の著書は中古で1円から数百円で手に入るが、書かれている内容や発想の面白さはその何百倍もの価値がある。昔よくやっていた100円のレコード箱漁りと同じく、僕はそういう拾いものの本を探すのがメチャクチャ好き。
OE - Reincarnation (Short Edit) #breakbeat #electronicmusic #contemporarymusic
2026年01月23日
元Googleの思想家ジェイムズ・ウィリアムズは著書『Stand Out of Our Light』で、哲学者ディオゲネスとアレクサンダー大王の逸話を紹介する。アレクサンダーがかの有名なディオゲネスだと知り、「私にできることはあるかね?」と尋ねると、朝日を浴びていたディオゲネスは「そこ邪魔。光を遮らないで」と返した。ウィリアムズはここから教訓を引き出すが、僕は面倒な相手を動かすより自分が光の方へ動く方が手っ取り早いと思う(笑)。
2026年01月22日
「私が絵を描くのは、共鳴してくれる人を求めているからではない。ただ、私の孤独を表しているだけ」と篠田桃紅さんは語った。孤独とは「埋めるもの」ではなく「結晶化するもの」。欠落ではなく充足であり、それは「自由」の別名なのだ。「自我」や「存在証明」といった強い言葉を避け、「孤独」という表現に留める。そこに、執着を脱した篠田さんならではの「粋(いき)」が宿っている。
2026年01月21日
「言わぬが花」という言葉は好きではないけれど、我々は沈黙を大切な「知性」の一つとしてきた。でも、GoogleやAIは沈黙を検索することはできないし、機械は沈黙を知性だとは見なさない。無関心や沈黙、さらには「電源を切ること」や「回線を遮断すること」も知性の一つだと思う。こうした態度は、最近では「Attention Sovereignty(注意主権)」とも呼ぶらしい。人間が注意の主導権を奪還することができるかどうかは、つまるところ自分次第。
2026年01月20日
基本的に「音の人」である僕は、世界がますます言語偏重になっていくことを残念に思っている。言語モデル(LLM)が驚くほど沢山の知的タスクをこなせるようになったからといって、「言語化こそが知能の正体」だということにはならない。そこを取り違えると、人間は言葉の奴隷になってしまう。これをどう思うかGeminiに尋ねると、「AIは人間の知性を置き換えるのではなく、人間が持つ知性の“言語化された断面”を極端に肥大化させる装置なのです」。
2026年01月19日
各アーティスト名義ごとのYouTubeの公式チャンネルが出来たので、それぞれのチャンネル用にショート動画を制作・公開しています。広告やレコメンドなどノイズの多いYouTubeのページにわざわざアクセスして検索や試聴をするのは面倒だと感じる方も多いと思うので、ショート動画だけをまとめて抜粋紹介するページをこのウェブサイト内に作りました。気に入ったチャンネルがあれば、購読していただけると嬉しいです。
2026年01月18日
「(広告や商業)デザインは自分を消すことだ」という意見があると聞く。僕の生業では、表現から自分を消したら終わり。ただ、万が一その手の仕事をするならば、商品やサービスを実際に使う生活者(エンドユーザー)にとってその表現が「善かどうか」で判断したい。現実的にはお金を払うクライアントがOKを出してくれれば仕事として成立するが、課題を解決し、本当にハッピーにしなければいけない相手はその先にいる。「自分問題」はそもそも課題の次元にはない。
2026年01月17日
阪神・淡路大震災から31年。あの日、仕事場へ着くと皆がテレビに釘付けで、画面越しに戦慄が走った。1月17日の早朝に地震が発生してから、実家と連絡がついたのは数日後の夜だったと記憶している。両親は家具の下敷きになりかけながらも無事だった。東京にいた僕は安否を案じることしかできなかったが、震災はその後の自分の生き方を確実に変えた。
2026年01月16日
AI 特集の番組で、タモリさんが 「人間性(を賛美すること)そのものが胡散臭い」と語っていた。案の定、出演者の誰もその発言の真意を確かめようとしなかった。ヴィクトール・フランクルは「過剰自己観察」という言葉で、自意識過剰がもたらす心身の疲労や機能不全を説明したが、人は「自分の前に鏡を置き、自分のことばかり考える」傾向がある。AIと人間のやり取りは、まさにこの「自己観察(言語化)の無限ループ」に陥る可能性をはらんでいる。
2026年01月15日
布団にくるまり、何か映画でも見ようと思う。幸か不幸か、ジャン・リュック・ゴダールのドキュメンタリーに出会ってしまった。彼は時間芸術、とりわけ王道的な映画が持つ「物語性」を破壊することで革命と混乱を起こした。「物語を信じない」と斬り、自分の人生から作品に至るまで偶然や断片という眼差しで解体したのが、デヴィッド・ボウイだ。世界はいつしか物語まみれの時代に戻り、アルゴリズムに翻弄され、空虚な「辻褄合わせ」に躍起になっている。
2026年01月14日
エドワード・サイードの代表的著書『オリエンタリズム』で、彼は西欧諸国がつくりあげた東洋へのイメージや偏見を徹底的に批判した。彼自身は複雑でパッチワーク的なアイデンティティーの持ち主であり、自らを「アウト・オブ・プレイス(場違い、部外者)」と定義している。考えようによっては(西洋に追随し帝国主義に走った)日本も「場違いな東洋」だろう。「場違いの国に生まれた場違い」として(笑)、僕は彼の主張に一筋の光を感じる。
2026年01月13日
Web2.0華やかりし頃にWiredのクリス・アンダーソンが「ロングテール」という概念を打ち出した。販売機会の少ない商品でもアイテム数を幅広く取り揃えることで、総体としての売上げは大きくなるという理想郷。あれから20年経ち、Spotifyは年間1,000回再生に満たない楽曲にはロイヤリティを支払わないというルールを導入した。デジタルの世界でも管理コストはかかるし、アルゴリズムはロングテールに味方しない。現実の流通・小売と同じと言えば同じ。
2026年01月12日
40過ぎる頃までは、超夜型の生活をしていた。東京に住んで西海岸の連中と仕事をしていると、朝6時になっても、まだ彼らは昼食の時間。時間が押しているプロジェクトになると、いつまで経っても寝られない、なんてこともしばしば。ただ、渡米して彼らと同じ時間帯で仕事ができて楽になったかというと、その手の「他人のペースで動く仕事」自体をきっぱりやめた。それ以降、僕にとっての朝6時は普通に「起床の時間」になった。めでたしめでたし。
Captain Funk - Night Shift (Short Edit) #disco #funk #deephouse
2026年01月11日
今の時代、「無関心でいられること」や「情報を遮断できること」は、時に関心や好奇心を持つこと以上に重要な態度であり、知性だと思う。西洋社会、特にアメリカでは何もしないことや黙ること、状況をただ静観することは、「敗北」や「無能」と結びつけられてきた。「即座に何か反応する」動的な姿勢こそが美徳とされてきたが、その美徳が現在、理性を食いつぶす最大の仇となって自分たちに返ってきているような気がする。
2026年01月10日
畑仕事にもガーデニングにも無縁だけれど、自分の生業(音楽制作とレーベル運営)は農業や庭作りに似ている点があると感じる。音楽は農作物のように天候や自然災害の影響を受けないし、雑草や害虫に頭を悩ませることもない。ただ、畑を耕し、作物を育て、収穫を待ちながら次の種をまくという「システムを設計し、サイクルを回して、徐々に成長させる」部分には共通性がある。この番組でジェレミーが設計するエコシステムは、反面教師かな(笑)。
2026年01月09日
「それは自律神経の乱れです!」最近は「自律神経」という言葉が科学的知見から離れ、一種の「マジックワード」と化しているところがある。海外でこの言葉(automatic nerve)を使うのは医療従事者くらい。身体や心の不調を「身体システム(神経)のせい」と捉える日本人と、「メンタル(脳・心)のせい」と考える西洋人。と単純化するのは良くないけれど、これに関しては日本の風潮の方が話がこじれにくくて合理的だと思う。
Dark Model – Tougher Than Steel (Short Edit) - American Football TV Opener Style
2026年01月08日
OpenAIのビジョンについてChatGPTに質問したところ、「サム・アルトマンはAIを“製品”ではなく、“電力”や“OS”にしたいと考えている」とのことだった。確かに現在の米国AI投資バブルを見ると、ジョブズとゲイツの時代どころか、カーネギーやロックフェラーの「金ぴか時代(Gilded Age)」を彷彿とさせる。一方、Deepseek創業者・梁文鋒氏のインタビューを聞くと、至って地に足が着いている。両者の違いがどんな結果を生むのか、楽しみ。
2026年01月07日
高校の先輩(年が離れていて当時は面識はなかったが)で、国内や外資系企業の経営を手掛けてきた方の話。彼がインタビューで「人生を変えた英語の先生」と語っていた人物は、まさに僕が英語を教わった先生だった。僕自身も、その型破りな教育スタイルに大きな影響を受けたので、強く共感した。大学では熱心に講義に通った記憶がなく偉そうなことは言えないが、その後の人生で、あの先生を超えるほど刺激的な教え方に出会ったことはない。
OE - Patterns of Passion (Short Edit) #minimalism #piano #contemporarymusic
2026年01月06日
After Effectsを使って凝ったエフェクトを作ろうとすると「エクスプレッション」の理解が欠かせないが、ざっくり派の僕はスクリプト系の学習に時間を割くのが苦手。JavaScriptも20年近く触っている割に未だに使うのが億劫だし、Flashで日替わりブログを作った時はActionScript(懐かしい)とPHPの連動で苦労した。ただ、色々プログラムやアプリを触ってきたお陰で、音楽とテクノロジーに関しては、試行錯誤自体も楽しみの一つではある。
2026年01月05日
少し前に僕の曲が使われたチリのテレビ番組を紹介したが、チリで人気の番組といえば「31 Minutos(31分)」。結構毒のあるユーモアを含んだ、パペットを使った教育番組。日本にも人形劇やユーモアの効いた良質な子供番組はあると思うけど、決定的に違うのが音楽。どちらが良し悪しの問題ではないにしても、なぜ日本で生まれ育った自分がこういうファンキーでリズミックな音楽の方がしっくりきてしまうのか、今更ながら不思議に思う時がある
2026年01月04日
このウェブサイトのトップページに埋め込んだビデオのスタイルを変更しました。これまでは、Vimeo にアップロードした動画を時間帯ごとにいくつかの種類をローテーションで表示していましたが、今後は YouTube からの動画を使用し、パソコン版では横長の動画を、スマホ版ではショート動画をランダムに再生するようにしました。トップページが更新される度に、違った動画を楽しんでいただけると思います!
Captain Funk presents Playmodel - Horizonte (Short Edit)
2026年01月03日
足底筋膜炎の対策で色々な情報を集めて試してきたが、最も効果があったのは「バスソルト」かもしれない。中身は硫酸マグネシウムであって塩化ナトリウムではないのだが、見た目が塩そのものなので、つい舐めてみて悶絶した(子供か、笑)。毎日マッサージやストレッチを欠かさず、一日3回このバスソルトを入れた足湯に浸かっているお陰で、かなり回復してきた。ただ、坂のない場所に引越をするのが一番の治療だとは思う。
2026年01月02日
昨日、Geminiが突然、「あなたは日本の国債が暴落してパニックになると思いますか?」と質問してきて驚いた。僕は国債には特に興味がないけれど、この十数年で政府や日銀が行ってきたことのツケは、どこかで回ってくるだろうとは思っている。ただ、国民や企業の大半はそれを享受してワッショイと祭りをしてきたのだから、パニックが起こったとしても、政府に責任を転嫁するのはフェアではないだろう。そんなことより、僕はショート動画を作るのに夢中(笑)。
Captain Funk - Metropolis (Synthwave Remix, Short Edit)
2026年01月01日
“言語化”という言葉をよく聞く。意味は、メリハリをつけてはっきり伝える、という点で英語の articulate や clarify に近いと思う。確かに大事なスキルだし、ビジネスパーソンの世界ではこれがうまくできればそこそこ世渡りもできるだろう。ただ僕は、言葉で説明できない世界の方に魅力や可能性を感じてきた人間。検索文化やAI文化を取り巻く、「世界は全てテキスト化できる」かのような錯覚や驕りには陥らないように心掛けている。










































