2025年05月31日
『不思議の国のアリス』に出てくる「その場にとどまるためには、全力で走り続けなければならない(It takes all the running you can do, to keep in the same place.)」 というセリフは今この時間も世界中のどこかで引用されている。ただ、まともに走れないのならいっそ周回遅れのままの方が幸せなのかも知れないと思う状況もある。記事の半導体プロジェクトには既に2兆円近く税金が使われており、官僚や政府の発想が周回遅れどころか、「逆走」している。
2025年05月30日
マディソン・マクファーリンはボーカリスト/シンガーであることは間違いないが、その立ち位置が特異だと思う。どちらかというとプロデューサー、バンマス志向が強いのかも知れない。この『Ain’t It Nice』という曲は春先にラジオか何かで聴いてアレンジが気に入っていたのだけど、バンドスタイルのライブヴァージョンを聴いたのはこのTiny Deskが初めて。ベース、ドラム含めたプレイヤーのバックアップが良い。
2025年05月29日
数学は割と好きだが、泥臭い学問だと思う。ここ最近微積や線形代数の本と格闘していて、ノートに数式を書き散らかしては手を止め、また書き散らかすの繰り返しばかり。楽しいけれど、全然エレガントな作業だとは言えない。よく聞く「数学は美しい」という意見は、僕にはちょっとした優越感や気取りというか、やせ我慢にすら映る。そう思ってAIに聞いたら「数学の美しさは後から付けられた「プレゼン用の衣装」にすぎません」という答えが。僕より手厳しい(笑)。
2025年05月28日
Billy Joelの『Nylon Curtain』というアルバムを買ったのは僕が中学に入った年だったと思う。作曲スタイルやサウンドメイキングこそ後期ビートルズの影響が強いが、扱うテーマは米国社会に焦点が当てられていて、ベトナム戦争から労働問題まで「実はあまりハッピーじゃない、矛盾だらけのアメリカ」を描いていた。今アメリカのミュージシャンが現状をモチーフにしたところで、世界中から「知らんがな」とそっぽを向かれてしまいそうだが、それはさておき、この作品はよく聴いた。
2025年05月27日
MER『Cosmic Funk Expo 1』はもうチェックされましたか?今週中に各サービスへのリンクをまとめてTopicsやDiscographyで紹介しますので、それまではApple MusicやSpotifyなどのアーティストページ(MER)からアルバムを探して聴いてみて下さい。今日はBandcampから、アルバムの中では少し毛色の変わったドリーミーな曲、「Star Parade」を紹介します。
2025年05月26日
何を学ぶにしても、「最初に誰から、何を教材にして学ぶか」は至極大事だと思う。教師やテキストの選択や質、相性が悪いと、素質ややる気がいくらあっても乗り越えられないものは乗り越えられない。ただ、昔と違い今はオンラインコースやAIチャットなど、自分に合った学び方を選択する自由度が遥かに高い。こうなるともう教師や学校のせいには出来ない。ところで、なぜ多くの人が「時間をかけずに、手早く」学びたいと思うのだろう?時間がかかるからこそ楽しいのに。
2025年05月25日
「運転手もの」というジャンルがあるかどうかは知らないけど、運転手という職業や乗客と運転手の関係を描いた映画は沢山ある。『ドライビング・ミスデイジー』に始まり、『グリーンブック』『パリタクシー』『パリの調香師』など、何だかんだ僕も結構見ている。異なる出自や背景を持つ2人が旅や時間を共有する中で心を通わせていく「バディな」ストーリーは共感を呼びやすい。そういえば、日本の『トラック野郎』こそ、思い切りバディなロードムービーじゃないか!
2025年05月24日
コロナ禍辺りまで、HGTVというインテリアやリフォームを扱うチャンネルの番組をよく見ていた。アメリカでは中古物件をリフォームして素早く転売するフリッピングが盛んで、このチャンネルのリアリティショーからスターが沢山生まれた。最近視聴者が激減しているらしいが、見ている側も景気の良い話ばかり考えていられなくなってきたのかも知れない。僕が好きだったのは、宝くじを当てた人に物件を案内して回る”My Lottery Dream Home”。当選してテレビに出る勇気がすごい。
2025年05月23日
金融ニュースでは「日経平均は小幅反落、円高ドル安進行が重しに」なんて見出しをよく見る。「円安=株高(=善)」「円高=株安(=悪)」という紋切型の見方は、輸出企業中心に日本経済を評価してきた古いマインドセットが残っているせいだろう。先日書いた「数学の”なぜ”」の話とは違って、全ての事に関して意味づけや因果関係、さらには善悪や正義を見出そうとする、極端な「ナラティブ(物語)志向」や「単純化」から離れることは、今とても大事だと思う。
2025年05月22日
サンドイッチで有名なサブウェイで「パンだけ」を販売してもらえるのか?これがハニーオーツ・パン好きの僕の長い間の疑問だった。日本のサブウェイのウェブサイトには丁寧な説明が載っていて、「”野菜全部抜き”として注文して下さい」と書いてある(笑)。一方アメリカでは州や店舗によって対応も値段も異なる(1ドルで売ってくれるお店もあると聞いた)。いずれにせよ、我々のわがままなオーダーをテキパキこなす世界中のサブウェイのスタッフの方々には本当に頭が下がる。
2025年05月21日
最近「ネイピア数/オイラー数(自然対数の底)」に振り回されている。この数の使い方や背景を文献やオンラインで調べても、僕の素朴な「なぜ?」に答えてくれる情報が見つからない。数学に限らず、「そういうものなんです。覚えましょう。」的な、教える側の理解が怪しいものや試験対策の教材は沢山あるが、本質を突いた丁寧な解説に出会うことは滅多にない(この3Blue1Brownチャンネルは別)。で、最近はAIチャットに質問攻めする機会が増えた。
2025年05月20日
このFindingsのランキングに上がっていた「海外契約書の傾向と対策」という投稿、もう18年も前のものなので何を書いていたのだろうと思って見てみたら、意外と現在と考えが変わっていない。その後様々な国で、厄介な契約から人生のターニングポイントとなった大事な契約まで、様々な書類に目を通しサインをしてきたが、今思うのは、しょせん書類は書類でしかないということ。現在は特に、書類の風化よりも人間関係やビジネスの風化の方がずっと早い。
2025年05月19日
自分も含めて大抵の人は、旅行や移住を検討する時にその土地の「治安」をかなり気にする。なのに、インターネット上の、セキュリティというよりは「情報上の治安」、つまりそのサイトの情報がどれだけ信頼できるかや有害な投稿に出会うアクシデントに対しては無防備というか、むしろ積極的に飛び込む。旅行先でスリや暴行に会う確率よりも遥かに高い、日々の不愉快や面倒を避ける環境・習慣作りはとても大事。これこそAIを活用すべき領域だと思う。
2025年05月18日
ドキュメンタリー映画も様々。あるテーマについて我々に「考えさせる機会」を与えるにとどめ、Yes/Noや左/右の答えを明示しない良心的なものもある。その反面、作り手の結論や感情ありきで作られている、独善的でバイアスの強いものも多い。裏付けや公正さの欠くストーリーをショッキングに演出し、誰かを悪者や敵にして終わりという印象操作の意図があからさまだと、戦争のプロパガンダや選挙キャンペーンと大して変わらなくなってしまう。
2025年05月17日
ヴォルテールが『哲学辞典』に遺した言葉「本を読み、踊ろう。読書とダンスは決して世界に害を及ぼさない」はセンスの良い名言だと思う。ただ、彼が強烈な反ユダヤ主義者だったり、詐欺罪で訴えられるほど金に執着していたことを考えると、現実的には人が「世界に害を及ぼさないで生きる」のは難しい。読書、ダンスとあと何が必要なのだろう?
Philosophical Dictionary "Liberty of the Press" (1764) - Voltaire | WIST Quotations
2025年05月16日
イギリスのあるビリオネア・トレーダーがインタビューで「ケンブリッジ大に通っていた頃はスージー&ザ・バンシーズとかザ・ラッツに夢中だったよ」と答えていて、随分珍しい人だと思った。片や日本では(彼と同世代の)村上世彰氏がINUやフリクションのライブに通っていた、という話はなさそうだ。西新宿で小遣いをつぎ込んでようやく聴けたパンクのレコードも今は瞬時にタダで聴けるのが当たり前になってしまった。人生の味わいは「当たり前」を減らすことから。
2025年05月15日
MERのアルバム『Cosmic Funk Expo 1』発売まで1週間となりました。Apple Music, Spotify, Youtube各サービスでの先行リンクが解禁になったのでお伝えします。アルバムに収録されている音源のハイライトはTopicsのページに掲載した動画からお楽しみ下さい。
2025年05月14日
ジョージ・オーウェルの本は学生の頃から何冊か購入しているけれど、完読したことがない。あらすじや世界観がある程度見当がつくというのもあるし、現実が既に彼の風刺する社会を超えてしまって、答え合わせをする気にならないということもある。アイン・ランドを信奉してきた(一部の)アメリカン・ドリーマー達の行きつくところが、オーウェル的なディストピアだったというのは皮肉極まりないが、アメリカが支えとしてきた「妄想の表と裏」が同時に露呈されただけ、と言えなくもない。
2025年05月13日
HeyGenなどのAIアバターツールを見るにつけ、そのクオリティと進化の速さに驚かされる。で、ネットでは「AIが自分の仕事を奪うのでは?」と騒ぎ、不安を煽る人達が現れる。でも、家を出て周囲を見渡すと水道工事のおじさんから庭師の兄ちゃん、宅配便のドライバー、郵便局の窓口の女性や花屋のお姉さんまで、いつものように溌溂と働いている。ネットで騒ぐ「仕事」って一体何なんだろう?と素朴な疑問に戻って考える今日この頃。
2025年05月12日
マイクロブログの4月分アーカイブをアップしました。以前は一か月分の投稿を一つ一つ手でコピペ&整形して1つのエントリーにまとめていたのだけど、その作業をPythonでほぼ自動化するプログラムを作ったので、よりスピーディーに掲載できるようになりました。Pythonはまだ大して触っていないけど、ライブラリやガイドが充実していて、CやJavaに取り組む時のような下積み感やしんどさが圧倒的に少ない。使い道を考えるのが楽しい言語です。
2025年05月11日
高校数学を復習しようと思うと、今は大学の理系の学部でしか学ばない分野になっていることがしばしばある。僕が高校生の頃は文理関係なく微分積分や行列、ベクトルもやったし、理科・社会も2科目づつ履修したので、今よりは学ぶボリュームが多かったと思う。ただ世界中で猛烈に勉強している学生や社会人は山ほどいるので、僕の学生時代などお話にならない。これからも学びを続けて、最後に「色々な事を学び、考えて楽しかったな」と思える人生にしたい。
2025年05月10日
かつてMinutemen(ミニットメン)というパンクバンドがいて、彼らのCDを車に積んでよく聴いていた。ギタリストのD・ブーンが自動車事故で亡くなった事で二度と再現できないサウンドになってしまったのは残念。アメリカのバンドだけど、知り合いのアメリカ人の口からこのバンド名が出たのを聞いたことはまだない。80年代から90年代にかけて、パンクやインディ・ロックは、本国よりも日本の方が熱心なファンがいたのかも知れない。あっ、ジャズもそうかも。
2025年05月09日
大学の時に履修した様々な経済理論は当時も今もしっくり来ない。ノーベル経済学賞受賞者をはじめとする「経済学の権威」達こそが金融市場を混乱させ、実体経済と金融経済とのバランスを壊すことに加担したと思う。彼らやウォール街が金科玉条のごとく持ち上げて利用した「効率的市場仮説」に真っ向から挑んだ数学者マンデルブロの本。ただ、語り口が上品で、ナシム・タレブのようにストレートかつ喧嘩腰ではないからか、見過ごされやすい。
2025年05月08日
日本語をパソコンやスマホのキーボードで漢字やカタカナに変換しながらタイピングするというのは、英語を入力するのに比べて遥かに負荷がかかり、疲れる。僕らは普段この苦行に違和感を持たないけれども、この変換作業に消費する神経・身体のエネルギーを減らせたら、どれだけ生産性とスピードが上がることか。なんて考えていたら、久々に坂村健氏の名前に遭遇した。彼が超人的なのは、その知性はさることながら、日本の将来を諦めない執念。
2025年05月07日
ボディブレイドという筋トレグッズをご存知だろうか?一言で言うと「しなり棒」で、この棒を持って身体をブルブルと振動させて筋肉を鍛える。身体への負担が少なく、音楽やテレビ、会話を楽しみつつの「ながらエクササイズ」が出来るので、長い間愛用している。日本ではあまり出回っていないようだが、最近某メジャーリーガーが体幹トレーニングで使っていると話題になったらしいので、徐々に胡散臭いイメージが消えて普及するかも。
2025年05月06日
「笑いケア」というのがあるらしい。僕はここでは結構真面目なことを書いてるけど、普段の生活では冗談や笑いが絶えないので、笑いケアは十分できていると思う。テレビを見て笑うとか笑顔を作るとか身体運動としての笑いも良いけど、「笑えること」を考えたり自分を滑稽に思える心の余裕を持つことはもっと大事だと思う。そういえばアメリカの映画館で『切腹』を見た時、殺陣のシーンで何人か声を上げて大笑いし始めた。笑いのツボが「特殊」なのか。
2025年05月05日
僕が言う「めんどくささ」は、多かれ少なかれ誰もが持つ優劣(排他)意識と関係している。優越感は往々にして「コンプレックスや恐怖から身を守る、仮の鎧」でしかない。本当は自分が乗り越えないと解決しない「心の課題」なのに、それを他人や社会との比較問題にすり替えて「解決した」と脳に言い聞かせる。文化や権力、メディア、つまり「文明」はそういったヒトの脳のメカニズムの弱点を利用して、我々に錯覚を起こさせる「からくり装置」と化すことがある。
2025年05月04日
第二次世界大戦時にドイツが使っていた暗号機「エニグマ」はアラン・チューリングの評価の高まりとともに有名になったが、「音の暗号機」とも言えるヴォコーダーの技術も同時期に米国で開発が進み、秘話システムSIGSALYとして重宝された。その後SIGSALYの技術や特許がそのまま楽器としてのヴォコーダーに使われたわけではないようだが、どちらも1930年代にベル研究所が開発した”The Voder”が原点とされている。世界初のロボ声をどうぞ。
2025年05月03日
(めんどくさくない方の)ジャズ評論家テッド・ジョイアが「音楽業界のヒーローと悪役の見分け方」という記事を書いていた。僕は音楽” 業界人”ではないのでどちらのタイプとも交わる機会は殆どないが、悪役の一つに「音楽のことを”コンテンツ”と呼ぶヤツ」を挙げていたのには笑った。さらに言えば、音楽を「データ」と呼ぶ輩は僕の中の警報器が鳴る。これはモラルやリテラシーというよりも、「センス(感性)」の問題だと思う。
How I Identify Heroes & Villains in the Music Business
2025年05月02日
NPRのTiny Deskにチャールズ・ロイドが出演していたのを最近知った。大好きなジャズ音楽は沢山あるけど、ジャズって演奏家から評論家まで、何となく「めんどくさい」世界という印象があるので、寡黙にしている(笑)。ただアメリカの都市部では、こういう大御所のジャムっぽい演奏を普通に公園や駅で聴けたりして、もっとフレンドリーでオープンな存在なのも事実。といいつつ、この演奏の途中でコルトレーンのフレーズを一瞬発見して小躍りしてしまう自分がいる。