今日はずっとダンス物を作っていたので、ご紹介はダンス以外のものから行きます。The blood Arm “Lie Lover Lie“。やさぐれ系のロックバンドと言ってしまうとロックは本来やさぐれているものなのであまり説明になっていませんが、’60,アーリー70sテイスト、モッドテイストの強い音ですね。ピアノと粗いギター、そしてキャッチーなメロディと、僕が惹かれる要素が詰まっているバンドですが、”Say Yes” とか”Suspicious Character” は既に聴かれた事がある方がいるかも知れませんね。
次は御大Todd Rundgren “Back to the Bars” 。二枚組のライブ盤です。この頃(’78年)になると、彼の名義の使い分けもかなり破綻してますが(笑、僭越ながら気持ち少し分かる…)、タイトル通り、アリーナとは違うライブハウス感覚に溢れた、とっても心温まる録音です。Toddに関しては「聴かないと人生損をする」的な定番作品も沢山ありますが、一通り聴いたらこういった「番外編」的も試されてはいかがかと思います。
最後は映画「泳ぐひと」です。泳ぎものでは(そんなジャンルないけど)比較的最近のミステリ「スイミング・プール」よりコクがあるはず。パンツ一丁(ぱんいち)で他人の家のプールを渡り歩くバート・ランカスターの取る行動一つ一つが何かのメタファーなんだろうなと思って、大学生の頃から何年かに一度は見るのですが、未だ理解出来ない部分もある映画です。かなりシニカルでダークなクライマックスは逆に掴みやすいのですが、そこまでの過程や動機、そもそも何故プール伝いに泳いで帰ろうと思い立ったのか、「泳ぐ」とは何か、水は何を象徴しているのか…、とか考え出すとキリがないので、まずはさらっと流して見るのが良いかと思います。
この暗示・風刺的な作りもしくは結末の「観客を突き落とす」感じは、60年代後半~70年代中盤までのアメリカ映画に特徴的な展開ではありますが(それこそ「イージー・ライダー」に始まり…)、個人的にはなぜかピーター・セラーズの「チャンス」を思い出すのです。「チャンス」は一般的にはコメディ(コミカル・ファンタジー)とされてはいますが、不気味な暗示が多すぎて(原作者コジンスキーのミステリアスな人生も重なって)、深読みすればいくらでも出来てしまう奇妙さがあります。